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レポート|第30回日本エイズ学会(鹿児島)


第30回日本エイズ学会学術集会・総会(以下、エイズ学会)が、2016年11月24日(木)~11月26日(土)の日程で、鹿児島で開かれました。テーマは「エイズ学の過去、現在、そして未来」です。

1987年に京都で第1回エイズ研究会が開催され、それから30年目にあたる節目の学会となりました。

30年のエイズ学の歩み、そしてこれからの発展をテーマとし、様々な講演がおこなわれておりました。

私たちも学会に参加してきましたので、その様子をご紹介します。

前回の学会報告でも取り上げたPEP、PrEP(http://www.f-kobe.org/research/report_jaids_meet-29th/)、この件について今年はHIV陽性血液・体液曝露後にPEPを実施している病院の報告を聞きました。PEPは感染成立リスクの軽減に有用であると報告されていますが、日本では保険適用外で、25~30万円と、非常に高い費用がかかります。一方、アメリカではPEP、PrEPは保険適用となっていて、安価で受診することが出来、また保険を持っていない人にもさまざまなサービスが提供されています。そのため、アメリカではPEP、PrEPが広く普及してきているため、アメリカ人旅行者が日本へ渡航中に感染の疑いがあった時に、PEPを希望する人が多いようです。日本でもだんだんと情報が普及されてきつつあるため、PEPを希望する受診者は増加すると予想されておりました。

日本では一般市民にはそこまで周知されておらず、知っていても高額な治療費となるため、断念する人が多いのが現状です。日本では予防医療に保険適用がされないため難しい課題ではありますし、PEP、PrEPが100%感染を防いでくれるわけではありませんが、セイファーセックスしか防ぐ手立てがなかった今までから、HIV感染者の増加を防ぐ一つの方法として、これからも研究が進んで、日本でも保険適用され安価で受診出来る環境が整っていけばいいなと思いました。

 

HIVに感染すると現状完治することはできません。なので、生涯病院へ通うことが必要となります。HIV診療は基本的にその地域に指定されているHIV拠点病院で受診することになります。しかし、生きてる上で風邪や虫歯など一般の病院でも受診出来る病気にかかる事もあります。その通院に対する問題についての報告もありました。

HIV陽性者に他院受診状況に関するアンケートを取った報告を聞きました。他院受診時にHIV陽性であることを報告したかの質問で、6割以上の人が伝えていませんでした。その理由として、プライバシーの漏洩、差別的目線、診療拒否への不安があった。HIV陽性である事を伝えた人の中には若干名HIV陽性を理由に診療を断られた人もいました。

拠点病院が遠いため、HIV診療以外での通院は他院を希望する人は多く、HIV陽性を伝えずに受診することは、医療従事者への感染や、抗HIV薬との相互作用などいくつかの問題があります。しかしながら、診療拒否やプライバシーの問題など、陽性者の精神的不安も多いです。プライバシーの問題は近隣になればなるほど、情報漏洩が気になるもので、難しい課題ですが、診療拒否はHIV陽性者でも受診可能な病院一覧などあれば、診療拒否を気にせずに受診することが出来、陽性者の不安や負担が軽減されるのではと思いました。

 

ふれんどりーKOBEでも設立を目指している、陽性者支援についてもたくさんの団体が報告を挙げていました。

今回の学会は鹿児島で開催されていたこともあり、鹿児島をはじめとする九州、中四国など地方で活動する団体の報告を聞きました。地方では、都市部よりも隠して生きる人の割合が多く、陽性者同士で語る場としてのピアミーティングを開催しても、なかなか参加につながらなかったり、圧倒的な人手不足で、コンスタントに開催するのが難しいのが、現状どこの団体でも課題となっていました。しかし、そういった陽性者支援団体が地域にあるということは、今現状参加することが出来ない陽性者にとっても心強く、重要なものになっているとありました。人手不足、周囲にバレる不安といったものは、ふれんどりーKOBEでも同様に課題となっております。

 

30年目の学会ということで、これまでのエイズ学の変遷の紹介もありました。僕がふれんどりーKOBEに入って6年になりますが、エイズが発見された当初やそれから抗HIV薬が出来るまで、抗HIV薬が出来てからの話など、今まで知らなかった話もありました。医学の進歩によって、エイズは死の病気ではなくなりました。ふれんどりーKOBEで行っている街頭リーフレット配布での通行人の反応は様々ですが、「恐い、私は関係ない、避ける」といった人は一定数いらっしゃいます。そういった街角での反応を見ているとエイズが発見された当初の差別的な見方は今もなお根強く残っているように感じますし、HIV/エイズに関わりをもっていない人たちにとっては、正しい知識や現状のHIV事情を知らない人は多いと感じます。今後も多くの一般市民にHIV/エイズに触れてもらい、差別や偏見をなくし、今のHIV/エイズを知ってもらえるような活動をしていきたいと思いました。