虹コラム1.コロナ禍から考える「実感」

この1年近く、毎日のようにコロナウィルスのことを見聞きします。お出かけを控えたり、慣れないテレワークに挑戦したり。この状況から抜け出すには、感染防止の取り組みが不可欠だけど、どこか他人事のように感じている人、多いんじゃないでしょうか?

「私の身近に感染した人っていないし…」と実感がないのは当然で、例えば神戸市のコロナウィルス患者は、累計約15000人(2021年6月8日時点)。神戸市の人口がだいたい150万人ですから、割合だけで言えばまだそのおよそ1%です。これは100人の人と会って、そのうち感染している人が1人いるかいないか。日頃から100人もの人に会うことはなく、「コロナ感染を自分事に感じろ!」というのは無理がある気がします。

HIV/エイズも同じで、令和2年度末現在、神戸市内で在住でHIVの治療を受けている人は375人です。これはコロナ患者数のさらに1/50程度ですから、HIV/エイズは他人事どころか、意識にのぼることすらないかもしれません。HIVに感染している人が少ないことは喜ばしいのですが、HIVを身近に感じるにはちょっと少ない数なんです。

とは言え、神戸にもHIVに感染している人がいます。私たちふれんどりーKOBEは、みなさんにHIV/エイズが、意識にのぼる機会を作るために、関心を持ってもらうために、言葉として「HIV/エイズ」を見てもらおう、耳にしてもらう。地道なところから街頭活動での呼びかけやホームページでの発信を続けてきました。

さらに一歩踏み込んで、なんとかして他人事を自分事にすることはできないでしょうか。
ここでおすすめですが、「もし自分がコロナウィルス/HIVウィルスに感染したことがわかったら、その次に何をしたらいいかな?」ということを頭の中でシミュレーションしてみるのはひとつの方法だと思います。

コロナに感染しているかどうかはどうやって知ればいいの?感染したことがわかったら、まずどこに連絡をすればいいの?保健所?病院?救急車を呼ぶべき?病院に行くなら公共交通機関を使っていいの?自分の身の回りの整理はどうしていくべき?など、いろんなわからないことが思い浮かびますよね。感染したらどうすればいいのか、実はなにも知らない、ということに気づくことが、他人事から脱却するための1つの方法かと思います。

コロナのことはある程度知ってるけど、HIV/エイズのことなんて何にも知らないよ。というそんなあなたのために、HIV/エイズ・感染症の基礎知識をまとめたページがあるのでぜひ読んでみてくださいね!

そして、自分の感染から治療までのシナリオを想像した経験は、コロナウィルス/HIVウィルスに感染した人への理解にきっとつながっていくと思います。

他人事を自分事に変えてこの状況を乗り越えていきましょう。