HIV/AIDSについて

ふれんどりーKOBEは、2018年1月14日にAIDS STUDYの一環として、ふれんどりーKOBEが開催するイベントへ参加する人たちを対象に、勉強会を開催しました。

予防啓発や、感染している人への理解を広める啓発はよくありますが、今回は

  • HIVがどうやってヒトの体の中で感染し増殖するのか
  • 治療に使われる抗HIV薬はどのようにウイルスの増殖を阻止しているのか

という2点をテーマにしました。その内容をご紹介します。

イベント全体のレポートはこちら。

虹茶房に参加いただいている方を対象に、HIV/AIDSの感染のしくみについて説明しました。

 

HIVに感染する事と、AIDSを発症することはイコールではありません。HIVウィルスに感染し、体内で増殖したHIVウィルスは、免疫細胞を破壊して、免疫力を低下させます。その結果、様々な日和見感染症を起こします。日和見感染症とは、免疫力が低下した状態でみられる特有の病気のことです。同じ細菌に感染しても通常時より重篤な症状を引き起こしたり、通常時は感染するようなことはないような細菌に感染が原因の病気の総称で、HIV感染が原因で日織身感染症を発症した状態ををAIDS発症といいます。

 

AIDS発症の診断は、23種の指標疾患の発症を確認した時にAIDS発症を診断されます。

 

HIVウィルスは血液中の白血球の一種であるCD4細胞に入り込み増殖を開始します。この増殖を開始した段階を感染と言っています。ヒトは、体外から侵入してくる細菌やウイルスなどの異物や、体内でできてしまうがん細胞などを除去し、体を守る機構を持っていて、免疫といいます。免疫は複数種類の細胞が構成していて、CD4細胞その一つで、免疫機構の司令塔の役割を担っています。HIVはCD4細胞に感染し、増殖・破壊します。血液中のCD4細胞が減少すると、異物を除去する役割のBリンパ球やCD8細胞といった攻撃細胞に指令を送る事が出来なくなり、異物を正常除去出来なくなります。そのため、健康であれば攻撃・除去出来る、菌やウィルスに感染してしまい、日和見感染症を発症します。

 

HIVウィルスはCD4へ吸着・融合し、侵入、増殖し、細胞外へウイルスを放出します。増殖時に、CD4細胞を構成する遺伝子やたんぱく質を利用して、ウイルスを放出するときにCD4細胞は破壊されます。

 

体内に侵入するとHIVは、一気に増殖しはじめ、CD4細胞が急激に減少します。この時期を急性感染期といいます。
しかし、体も負けまいと、大量のCD4細胞を生産し、抗体を作ってHIVと戦います。この期間を無症候期といい、期間には個人差があります。上のグラフではHIV RNA量、CD4細胞数ともに平衡状態ですが、体内ではHIVがCD4を破壊し続け、次第にHIVの増殖が免疫に勝ってきて、免疫が正常に働かなくなり、AIDS発症に至ります。

 

現在のHIVの治療は、抗HIV薬を飲むことで体内のウィルス増殖を抑え、血液中のウィルス量を減らし、限りなく少なくすることで、AIDS発症を抑えています。

 

抗HIV薬には以上の種類があります。

 

一度服薬を始めたら、死ぬまで薬を飲み続けなくてはなりません。飲み忘れると、薬が効かない薬剤耐性ウィルスが出現したりして、使える薬の選択が少なくなるため、忘れず飲むことが重要です。